[15]『ウェディング・ドレスに紅いバラ』
(徳間ノベルズ・1989年)<漫画>

 《深紅の薔薇結社》略称CRS。それは吸血鬼を狩る人々の国際的な組織である。淳司と雅香はCRSの日本支部の構成員であり、同時に先天的な吸血鬼でもある。彼らが狩る吸血鬼とは後天的に吸血鬼となり、人間社会に害をなす者達のことを指す。淳司達と異なり吸血ウィールスに対する抗体を持たない後天性の吸血鬼は《患者》と呼ばれ、欲望に対する抑制能力の著しい欠如と、血に対する生理的な欲求が増大する。人類に比べれば明らかに小数派である淳司達としては、一族の平穏を守るため吸血鬼そのものの存在を闇に葬り、ささやかな平和を守らなくてはならなかった。

吸血鬼というモチーフを多数に対する小数者として位置付けることによって、小数派から現代社会を見渡す視点を読者に与えることに成功し、さらに差別や信仰の違いによって弾圧を行ってきた宗教の一面にも鋭く言及した作品です。


[データ&関連図書]

●(雑)ウェディング・ドレスに紅いバラ(初出『SFアドベンチャー』(1987年6月))

●(雑)星降る夜にダンシング(初出『SFアドベンチャー』(1989年2月))

●ブラッディ・ティーを一杯(書き下ろし)


[感想]


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